接続教育資料
小学理科,中学理科,高校物理から大学の基礎物理学へ滑らかに接続するように努めています。そのために必要な,小学理科と中学理科の物理学に関連した資料をまとめています。さらに,大学の基礎物理学から工学専門科目へ滑らかに接続するように努めています。ここでは,高校物理,基礎物理学と専門科目の教科書に見られる「力のつり合い」のあつかい方を比較しています。教育活動・報告書( など)も参考にしてください。
Ⅰ.小学理科と中学理科の物理分野
(1) 小学校理科
① 小学3年
- 光のせいしつ(鏡による反射と凸レンズによる集光.光が受けたものの温度.)
- 電気で明かりをつけよう(導線による電球と電池の接続.導体と絶縁体.)
- じしゃくのふしぎ(磁性体かどうか.磁極.磁力の距離変化.磁石の作り方.)
- ものと重さ(天秤などによる質量の比較.1 kg.ものの体積と重さ調べ.)
② 小学4年
- 電気のはたらき(乾電池とモーターの接続のし方とモーターの回転方向の関係.電池の直列つなぎと並列つなぎ.つなぎ方と電球の明るさまたはモーターの回転速度の関係.)
- とじこめた空気や水(圧力と体積の関係.)
- 温度とものの変化(1): ものの温度と体積(空気,水,金属の熱膨張.)
- 温度とものの変化(2): ものあたたまり方(金属棒と板の熱伝導.水と空気の対流.)
- 温度とものの変化(3): 水のすがた(水の三態.体積の温度変化.)
③ 小学5年
- ふりこのきまり(振り子の周期と振幅,おもりの重さ,長さとの関係.)
- もののとけ方(溶解と晶出.)
- 電磁石のはたらき(電流の向きと磁極の関係.電磁石の強さと電流と巻き数の関係.)
④ 小学6年
- てこのはたらき(てこの支点,力点と作用点.つり合いと力のモーメント.てこの利用.)
- 発電と電気の利用(手回し発電機と乾電池の比較.コンデンサーによる電気の蓄積.電熱線の発熱.電気の利用.)
(2) 中学校理科
① 中学1年
- 物質: 身にまわりの物質(溶解.物質の状態とその変化.)
- エネルギー: 光・音・力による現象(光の反射と屈折.凸レンズ.実像と虚像.音波.振幅.振動数.力[N].圧力[Pa].)
② 中学2年
- エネルギー: 電流の性質とその利用(オームの法則.電圧降下.電力.電力量.ジュール熱.電子と静電気.電子と電流.電流と磁界.電流が磁界から受ける力.モーター.電磁誘導.発電機.直流と交流.)
③ 中学3年
- エネルギー: 運動とエネルギー(力のつり合いと合成・分解.力と物体の運動. 仕事.仕事率.力学的エネルギー.いろいろなエネルギーと保存則.エネルギー資源と利用.)
Ⅱ.高校物理,大学の基礎物理学と専門の構造力学における「つり合い」のあつかい
(1) 高校物理
① 物理(実教出版,平成24年3月,佐藤文隆ほか)
- 1-1 平面内の運動と剛体のつり合い,まとめp.34
(力はベクトルとして表示するが,力のモーメントはベクトルとして表示しない.つり合いの条件を表す2式は天下り式に登場する.重心はそのあとの単元に登場する.角運動量は学ばない.)
(2) 大学
① 基礎物理学
- 工科系のための基礎力学<第2版>(東京教学社,2017年4月,井上光ほか)
- 8.3 剛体の運動の自由度と運動方程式
- 8.4 剛体のつりあい,p.157-161.
(つりあいの条件を表す2式は,剛体の重心位置の運動方程式と回転の運動方程式から自然に導かれている.つりあっているとき,重心の加速度はゼロであり角運動量は保存される.それらの意味を考えながら,つりあいの式を適用することができる.)
② 専門科目: 構造力学
- 建築構造の力学Ⅰ[静定力学編](森北出版,寺本隆幸)
- 2.5 力の釣合い,p.23-25.
(高校物理の流儀で天下り式に教えている.そこに重心は登場しない.力のモーメントはベクトルとして明示しない.ベクトル積は使わない.角運動量は学ばない.)